繊研新聞記事(下)

2015.1.22

繊研新聞記事の続きです。


カギは「専門店+商店街化」

ミセスのライフスタイルショップ化に挑むフクダ。14年10月に、ひたちなかファッションクルーズの「プリムローズ」を全面改装し、売上は前年同期比10%と躍進。「トゥーブロッサム」も同館に新規出店して予算比150%増となり、ヤングミセスからミセスまでのニーズを捉えてきた。

これから服が変わる

仕入れが6割に変わり、これまでの売れ筋追求から「新しくて面白い商品を回転良く提案する」方向に変わった。メーカー仕入れでは27店ある店舗に行き渡る在庫量が限られるため、売り切れ前にさらに新しい商品を発掘して投入、回転率重視のMDを強める。

品揃え変革後、特定の売れ筋に頼る今までとは異なり、様々な商品が売れていることに、福田社長は自信を深める。売り上げを引っ張っているのが住関連品で、一番売れるのがコケ球。取引先から紹介されたメーカーにディスプレー用で依頼して作ったものだが、「買いたい」という要望が出て販売すると、最も売れる商品になった。

アパレルも売れる分量だけ作る回転率重視に切り替わったが、商品自体はまだ大きく変わってはいない。ただ「これから服が変わりそう」と福田社長。ライフスタイルというフィルターを通すと、これまで売れそうだからと仕込んでいた商品は要らない。「冬はダウンジャケットが要る」という思考から脱却し、品揃えが引き算で研ぎ澄まされていくと見る。

今後は店内でのワークショップを見据える。販売だけでなく、作る・過ごすといったコミュニティーを提供へ。こうなると、「いったい何屋なのか?と思う」と笑うが、「両親から言わせると、『昔の店は見せ方が違えど、何でも置いていた』と。もう服屋ではなく、"ある生活を志向するための専門店"であることが求められる」とする。

新人採用に着手

地方は人口減少が顕著になり、買い場も減った影響からか、買い回りをしなくなり、「1カ所でしか買わない」という傾向も出ている。地方郊外SCには空きスペースが目立っているが、こうしたスペースを活用・大型化してライフスタイルを提案した方が伸びる可能性があり、「専門店化+商店街化」がキーになると見る。

当面5年は地元密着を強める。特に既存店に大きな伸び代があるとし、店数よりも既存店の大型化をめざす。出店は慎重に構える中で、立地は商店街化しているSCへ年間1〜2店を出していく。

前期(14年2月期)は売上高約17億円とここ数年変わらない中で、営業利益は5倍と跳ね上がった。社内全体が「もっと面白いものに変わろう」と意気込みが変わっている。本部要員も自ら積極的に店を巡回するようになった。人と組織にパワーが生まれている。

昨春に初めて新卒採用を行い、人材強化・育成に着手した。高卒、専門学校卒、大卒と全員学歴の異なる人を選び、多様性を備える。

繊研新聞20150121.pdf